夫婦喧嘩が一度深みにはまるとぬけ出すのは、中々大変です。
今回は長引いてしまいそうな夫婦喧嘩について、仲直りの方法を心理学の視点から書かせていただこうと思います。
夫婦喧嘩とは相手に原因があると思うことで続くもの
夫婦喧嘩と言っても、それがどのように続いているものなのかを理解せずに、仲直りへと回復していくのは難しいものです。
ですから今回は、先ずその点から書いていきたいと思います。
もちろん長引く夫婦喧嘩といっても、それぞれのペアによって様々な状況がありますから一口に言えることではありませんが、一般的傾向として感じるところを書かせていただきます。
そもそも喧嘩とは何でしょうか。
これは相手に怒りの感情をぶつけあっているコミュニケーションを指しています。
同時にその矛先を自分に向ける人も居ますが、どちらにしても最低限相手に向いてしまっているのは間違いないことだと思います。
だとすると喧嘩とは、前提として「自分が相手に怒って良いだけの理由がある」ということになりますから、極端に言ってしまえば、「相手の方が自分より悪い」と思っていることになります。
相手の方にその原因を考えていることで、「自分には変えるべきことがない」と決めてしまっているのでしょう。
そして、少なくとも仲直りをしようと思っているのであれば、実際は「自分も変わろうとは思っているが、相手が自分から変わろうという姿勢を見せてほしい」と思っていることになるかもしれませんね。
じゃあ自分に原因を持ってくれば良いのかということになるかもしれませんが、そう考えても中々難しいところがあります。
もちろん、自分が変わろうと思っている人であれば、精神分析のような心理カウンセリングを受けにいくことも良いでしょう。
たしかに根本的な解決はそこにあるかもしれません。
しかし、この「自分を変えなければならない」ということ自体が、何か自分にネガティブな思いを持たなければいけなく感じて、手を付けたくないことが多かったりもします。
その為、なんだかよくわからないお互いの心理を原因として考えることは長期的に見ていくこととしまして、先ず仲直りの為にすべきことしては、自分がどう思っていたとしても、自分が普段やってしまっているコミュニケーション(関わり方)を変えてみることを私は常々提案しています。
心理カウンセリングではよくあることなのですが、「貴方の言っていることは正しいと思います。その上で、貴方がやっているコミュニケーションを少しだけ変えてみませんか?」というと、すんなり受け入れてくれる人が多いのです。
仲直りのスタートはコミュニケーションを変えていくこと
そしてどのような喧嘩だとしても、「同じ状態が続いているのは、同じようなコミュニケーションをお互いがとり続けているから」という原則が、コミュニケーション心理学にはあります。
これは互いに続けてしまっていることなのですが、相手が黙りこんでしまうから、ついつい自分も黙りこんでしまうという夫婦もいるかもしれませんし、相手が黙りこむと余計に怒りに火が付いて激しい感情をぶつける場合もあるかもしれません。その場合は、相手が怒りをぶつけてくるから自分は余計に黙りこむというループにはまるのでしょう。
このとき、黙り込み方や怒りのぶつけ方も、なぜだか同じように続けてしまいがちというのが、誰であっても持っている不思議な性質なのです。
人には自分でもよくわからない「無意識的に同じコミュニケーションをとり続けてしまう」という特徴があるようです。
私のような家族療法を扱う心理カウンセリングでは、喧嘩をしてしまう夫婦について、怒りをぶつけるにしても、「どのようにぶつけていますか?」とか、黙りこむにしても、「どのように黙り込みますか?」とお互いがどの場所で、どれくらいの声量で、どんな態度でやりあっているのかを確認し、ほんの少しずつで良いので、その方法を変えるように提案することが多いのです。
黙っているにしても頷き方を変えてみたり、視線を相手に向けてみるようにしたり、実際的な練習をカウンセリングルーム内でやってもらったりすることもあります。
話し合っているテーマをいつもどおりのものとは違うものにしてみるのも良いですね。
夫婦喧嘩仲直りの秘訣 自分がとっているコミュニケーションを少しずつ変えてみる
人は自分で思っているのと、相手が受ける印象が違うものですから、もしそのような機会が持てるのであれば、是非とも他人に自分のコミュニケーションを見てもらったり、鏡の前でやってみたりすることをオススメいたします。
つまり、喧嘩はしてしまうにしても、その喧嘩の仕方次第で、段々事態が収まっていくことがあるわけです。
自分が何を思っているのかよりも、自分がとっているコミュニケーションを少しでも変えていくことが、夫婦喧嘩から仲直りを始めていくきっかけになるかもしれないと、知っていただけたらと思います。